美容の手術 --- 行う方の立場から
美容外科という分野が認められたのはごく最近の事です。
この一見なんの必要性を感じない手術が時には患者の生き甲斐や自信、
人生観などを変える効果があるとは、実際に携わった者でなければ実感出来ない
ことです。
ほとんどの場合、我々医師が体にメスを入れるのはその肉体が病んでいるときです。
放置しておけば命そのものを脅かせたり、あるいは日常生活に支障を来すような
あらゆる体の傷害。これらが絶対的な手術の対象である事は現在でも間違っては
いません。しかしよく考えて見ますと、生きていくためには肉体の健康だけでは
不十分なのです。そこには肉体と共に精神が存在しているからです。
「人はパンのみで生きるにあらず。」:もし心が自己の存在に不安や劣等感を抱くとき
、外見での評価が本人の希望するものでないとき。もちろん程度の大小はあると思い
ますが、健康なはずの肉体は社会の中でうまく機能しなくなります。このような場合手
術という手段で心の悩みを治療する方法があっても良いのではと思うのです。治療する
のは二重であったり、輪郭であったり、具体的な形なのですが、同時にコンプレックス
を感じるこころも解消されること、もしさらにできることならば、自信に変わること。
その部分を手術する側がしっかり見極めないと美容外科の手術は迷路に陥いり、とり
とめのない技法や、新素材の宣伝に終始してしまうのではないでしょうか。手術の押
しつけではなく、あくまでもそのひとに合った形が何であるかを理解し、内容によっ
ては手術をしない選択肢も挙げられる事。美容外科の本質はそこら辺にあるのではな
いかと思っています。 |